呼吸器内科肺炎及びその他の呼吸器感染症
肺感染症の診療は呼吸器疾患の中でも中核となる領域ですが、肺炎が死亡原因の上位となるなど生命に関わることも多い疾患です。当院では一般的な細菌性肺炎はもちろん、真菌・結核菌・ウイルス・特殊な細菌などの肺感染症に幅広く対応しております。また、肺炎だけでなく肺膿瘍や膿胸といった特殊な感染症に対しても積極的な診断・治療を行っています。
呼吸器感染症の治療について
重症な慢性肺疾患をもつ場合や他院で治療を受けて改善が得られない重症患者の紹介も多く、βラクタマーゼ陰性アンピシリン耐性インフルエンザ菌(BLNAR)や緑膿菌をはじめとした種々の耐性菌に対する治療が必要となります。耐性菌を増やさないためにも、むやみに広域抗生物質を乱用するのではなく、喀痰や血液培養に加え気管支洗浄・経皮肺針穿刺吸引といった検査も併用した上で原因菌検索を行い、感受性・組織移行性等を考えた適切な治療薬を選択しています。また、ニューモシスチス肺炎、肺アスペルギルス症、肺クリプトコッカス症などの真菌感染症や肺結核・肺非結核性抗酸菌症といった抗酸菌感染症についても豊富な診療経験があります。
経皮穿刺
呼吸器感染症の病原体を同定する目的で、喀痰検査・気管支鏡検査に加え、体外から直接病巣に透視下で針を穿刺し病原体を採取する経皮肺穿刺検査も積極的に行っています。この方法だと口腔内の常在菌が混入しないので、原因菌を確定できる可能性が高まります。
膿胸
肺は胸膜という二重の膜で覆われています。膿胸はこの二重の膜の間の胸膜腔に膿(うみ)がたまる病気です。肺炎の細菌が胸膜腔に入り込んだり、肺外から血流に乗って胸膜腔に到達して起こるといわれています。治療は、胸膜腔に管を挿入して貯まっている膿を出し(胸腔ドレナージ)、抗菌薬を投与します。ある程度時間が経って胸膜腔が癒着している場合は膿を吸い出すことが困難なので、胸腔鏡手術で胸膜腔の癒着を除き、膿を洗い流します。当院では、呼吸器内科と外科のスムーズな連携のもとに最短で急性膿胸を治療しています。