呼吸器内科間質性肺炎(間質性肺疾患)

概要

肺は肺胞というブドウの房状の小さな袋がたくさん集まってできています。間質性肺炎は、この肺胞の壁の正常構造が壊れて線維化(ケロイドのような傷あと)が起こる病気です。肺胞の壁を通して人は酸素を取り込んでいますが、この壁が固く、厚くなるために、酸素を取り込みづらくなります。間質性肺炎の原因はさまざまで、膠原(こうげん)病、じん肺、放射線、アレルギー性のものなどがありますが、原因不明のものを特発性間質性肺炎といいます。

特発性間質性肺炎

両肺の広範囲に陰影が出現する疾患は、間質性肺炎(Interstitial pneumonia; IP)あるいは間質性肺疾患(Interstitial lung disease; ILD)として知られています。関節リウマチなどの膠原病や吸入物質が原因とわかることもありますが、多くの間質性肺炎は原因が特定できず、特発性間質性肺炎(Idiopathic interstitial pneumonias; IIPs)と呼ばれています。中でも、肺がゆっくりと硬く縮んでいき(線維化)、息切れが進行、呼吸不全に至る疾患として、特発性肺線維症(Idiopathic pulmonary fibrosis; IPF)が重要です。癌と同じくらい予後の悪いこの疾患に対しては、近年Pirfenidone, Nintedanibといった抗線維化剤が使われるようになりました。これらの薬剤は疾患の改善治癒には結びつかないものの、悪化速度の抑制効果は期待できます。当院では豊富な経験をもとに、気管支鏡検査や胸腔鏡下肺生検などを行い、間質性肺炎の診断および治療方針の決定を行っています。

膠原病関連肺疾患

関節リウマチや皮膚筋炎、強皮症などの膠原病(自己免疫疾患)において間質性肺炎がしばしば発症します。中には間質性肺炎より発症し、その後膠原病が出現してくることもあります。治療としてはステロイドや免疫抑制剤を使用します。近年、抗ARS抗体や抗MDA-5抗体などの新しい血液検査が行えるようになり、専門医の果たす役割が大きくなってきている分野です。当院では2016年現在日本リウマチ学会専門医2人の常勤医、1人の非常勤医がおり、豊富な経験を元に呼吸器内科と連携しながら、膠原病関連間質性肺炎の診断および治療方針の決定を行っています。

その他

他にも、薬剤性肺炎、サルコイドーシス、過敏性肺炎、好酸球性肺炎、職業性肺疾患(珪肺やアスベスト関連肺疾患)などの比較的よく経験するびまん性肺疾患に加え、ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)、肺胞蛋白症、リンパ脈管筋腫症(LAM)、IgG4関連疾患といった稀少疾患も数多く診断してきました。気管支鏡検査や外科との連携による胸腔鏡肺生検を積極的に行い、稀少肺疾患の診断に努めています。