呼吸器内科難治性気胸・有瘻性膿胸

肺に穴が開くことにより空気が漏れて肺がしぼむ病態を気胸と言いますが、健常者に起こる自然気胸とは異なり、COPDや間質性肺炎で起こった気胸や、膿胸に合併した気胸(有瘻性膿胸)ではしばしば治療に難渋します。通常、気胸や膿胸の治療は全身麻酔下での外科療法が基本ですが、全身状態や肺機能が悪いために外科的手術が行えない難治性気胸や有瘻性膿胸に対して、当科では気管支充填術を積極的に行っています。これは気管支鏡を用いて、空気漏れ部分と交通している気管支をコルク栓のようなシリコンプラグ(EWS)で塞ぐことにより空気漏れを止める治療です(図1)。

特に、従来大きな手術が必要であった有瘻性膿胸が、この方法を使うと短期間で治る可能性があり、症例によっては極めて有効な治療です。当院では2010年より本治療を導入しており、近畿でも屈指の症例経験があります。また当院では従来の方法を改良した充填法(ガイドシース・キュレット法)を考案し、短時間で正確な充填を行っています。また、COPDでは肺が壊れているために空気の迂回路(側副換気)ができており、複数の気管支をEWSで充填しても、なかなか空気漏れが止まらないことがあります。このような症例に対して当科では、気管支充填術後に自己血・トロンビンを注入するという新しい方法を考案いたしました(図2)。

これにより多くの症例で難治性気胸の改善が得られています。