泌尿器科腎がん(腎細胞がん)

腎臓に発生する典型的悪性腫瘍で、古典的には血尿、疼痛、腹部腫瘤が三主徴候と言われていましたが、昨今画像診断の進歩により、超音波検査やCT検査などで症状がないうちに偶然見つかる症例が多数を占めています。女性に比べ男性に2-4倍多く、年齢は50-70歳に多く見つかります。はっきりとした原因は特定されていませんが、喫煙や肥満がリスク因子と言われています。またvon Hippel Lindau病と言った遺伝性疾患や維持透析中の患者に高率に発見されます。治療は手術による摘出が基本です。当科ではほとんどの症例に対して腹腔鏡下に実施しています。 中でも腫瘍のサイズが4センチ以下、外方に突出型腫瘍であれば腎機能を可能な限り温存する腎部分切除術を考慮します。最近では腹腔鏡下にも実施しています。それ以外の症例に対しては患側の腎臓と一塊として摘出する根治的腎摘除術が行われますが、ほとんどの症例に対して腹腔鏡下に摘出可能で、傷も小さく、早期離床、早期退院が可能です。周囲組織への浸潤や大血管内に腫瘍が進展している場合など一部の症例では開腹手術を考慮します。 残念ながらすでに遠隔転移ある症例でも、手術療法に加え分子標的薬や最近新たに保険適応となった免疫チェックポイント阻害剤などの抗腫瘍剤を使用し、病状の進展を抑える努力を致します。さらに肺単独転移症例においては呼吸器外科に胸腔鏡下切除も考慮していただき、可能な限りがん細胞を取り去るよう努力します。