泌尿器科副腎腫瘍
副腎は両方の腎臓の上に帽子のようにのっている左右1対の臓器で、大きさは3~4cmと小さい臓器ですが、非常に大切な各種のホルモンを産生しています。副腎腫瘍はホルモンを過剰に分泌する機能性腫瘍とそうではない非機能性腫瘍に大別されます。診断はCT,MRI,シンチグラフィーなどの画像診断及び採血によるホルモン値の測定や各種負荷試験を実施し、総合的に診断します。
機能性腫瘍
原発性アルドステロン症
アルドステロンと呼ばれるホルモンが副腎皮質から過剰に分泌されている状態です。高血圧患者の10−20%と占めると言われています。高血圧以外に多飲多尿や低カリウム血症に伴う筋力低下や筋肉のつれなどをおこします。
クッシング症候群
コルチゾールと呼ばれるホルモンが副腎皮質から過剰に分泌されている状態です。高血圧以外に顔が丸くなる、ニキビが増える、お腹に脂肪がつきやすい、毛深くなるなどの症状に加えて、糖尿用や骨粗しょう症を合併しやすくなります。
褐色細胞腫
アドレナリンやノルアドレナリンと呼ばれるホルモンが副腎髄質から過剰に分泌されている状態で、高血圧や高血糖になります。また頭痛や発汗過剰、体重減少などを伴いやすいです。中には普段症状がなく、発作的に頭痛や動悸を訴える場合もあります。
非機能性腫瘍
多くは良性腫瘍で治療の必要性は無く経過観察となりますが、サイズが大きい場合や経過観察中に増大する場合など、悪性腫瘍が疑われれば手術対象となります。この場合も多くの場合、腹腔鏡下摘出が可能です。
転移性腫瘍
時に肺がんなど他臓器の悪性腫瘍が副腎に転移することがあります。その場合は抗癌剤治療が基本ですが、副腎以外の臓器に転移が認められず、しかも抗癌剤治療に効果が乏しい症例では、根治を目指し手術療法も検討いたします。