救急科救急医療

診療システム

姫路医療センターの救急診療科についてご紹介いたします。
対外的に標榜しているわけではありませんが、姫路市とその周辺地域の三次救急疾患、重症救急・集中治療を要する救急患者に対応し、各科専門医と連携し、多発外傷・熱傷・急性薬物中毒・重症感染症・呼吸不全・ショックなどが診療の中心となります。また、複数の診療科にわたる疾患の患者のICUにおける全身管理を行っています。平成21年に2000件近くの姫路市内の救急を受け入れていますが、そのうち(重篤・重症)は300件以上で全体の約15%を占めています。

特 徴

  1. 救急担当医が積極的にドクターカー出動により積極的にプレホスピタルケアを実施しています。
  2. 救急担当医と各科専門医との連携による初療対応を行い、迅速な専門的治療の開始を目指しています。
  3. ショック・多発外傷・重症熱症・急性薬物中毒・重症感染症・呼吸不全などは救急専門医が各科担当医・コメディカルと協力し集中治療を行います。
  4. 救急認定看護師・各種認定看護師・薬剤師・栄養士・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・ソーシャルワーカー・地域連携室などと密接に連絡連携をとり診療を行っています。平成21年度のICU平均在室日数は4.5日で平均在院日数は3.5日でした。
  5. 状態が安定すればソーシャルワーカー・地域連携室を中心に患者様の立場に立った転院を進めています。

初療対応

重症患者様の場合、まず、救急医が呼吸循環の安定化を図りつつ、全身の観察・専門的精密検査を進めながら専門医師への連絡と引継ぎを行います。集中治療が必要な場合はそのまま治療に継続して関与します。

呼吸器センターとの連携

地域の呼吸器疾患最終病院として広く認識されており、重症呼吸不全の患者さんの救急搬送も増えています。
当センター呼吸器内科では、重症呼吸不全・重症肺炎・間質性肺炎などに対し、BiPAPなどの非侵襲的呼吸管理や血液浄化療法による呼吸器疾患の治療実績があり、救急診療科・ICUの最も得意とする分野で連携しています。従来、内科的治療の限界と思われていた状態でも、血液浄化療法の適応疾患であれば救命できる重症呼吸不全が増えていますし、ICUにおける肺保護戦略に基づいた人工呼吸器管理により早期の人工呼吸器の離脱も可能になっています。
呼吸器外科では重症胸部外傷(血胸・刺創・気管損傷・横隔膜損傷など)に対応し、胸腔鏡手術を応用した治療を積極的に行っています。PCPS・ECMOを利用した胸部外傷の治療経験も積んでいます。

プレホスピタルケア

平成18年9月より、プレホスピタルケアでの救命率向上・社会復帰率の向上・後遺障害の減少を目標にドクターカー(ドクターカーは当センター所有)の運用を姫路市消防局と密接に連携し積極的に行っています。また、ヘリ搬送の受け入れや救命センターへのヘリ搬送の実施など、兵庫県の救急ヘリ、ドクターヘリ事業に積極的に参加しています。

2022年6月末より3代目ドクターカーになりました!!

ドクターカー




ドクターカーについて

救命率はより早く処置を行った方が向上します。また、機能障害などを最小限に留めるためにも早期に医療が介入することが重要です。そのために、姫路医療センターで救命処置をより早く行うために医師を現場に派遣する「ドクターカー」の運用を行っています。 ドクターカーとは、救命救急を行う医師が、最新医療器材を搭載した高規格救急車に医療スタッフとともに同乗し、救急現場(傷病者発生現場)へ向かい、現場から一次、二次救命処置全般を救急隊とともに開始することで、重傷患者の救命率の向上を目指すものです。姫路市も2007年4月の市町村合併により救急医療をカバーする範囲が拡大し、また、当センターへの救急搬送件数も増加しています。広域の医療圏をカバーし、質の高い医療を提供するには、病院前から医療を提供する必要があります。周辺市町村からの救急搬送には時間を要し、重症患者は病院到着以前に生命の危険にさらされています。消防本部または現場救急隊からの要請によりドクターカーで現場へ出向き、必要に応じて病院前から医療を提供することは、生命予後・機能的予後を改善し、また、入院期間の短縮、医療資源をむやみに消費せず医療費の節約になります。実際にドクターカーの成果といえる重症症例の救命例が増えてきています。

ドクターカーの出動基準は次のとおりです。

  1. 多数の傷病者が発生し、現場でのトリアージを必要とする
  2. 傷病者救出に時間を要する外傷例で、現場での救命救急処置を要する
  3. 三次救急該当事案のうち、特に緊急を要すると判断した場合
  4. 呼吸不全又は循環不全などの重篤傷病者が発生した場合
  5. 他医療機関から当センターへ搬送患者の要請
  6. 当センターから他医療機関へドクターカーによる搬送が必要であると主治医が判断した場合
  7. その他、当センターが必要と認めた場合

また、市民の総合病院志向・専門病院志向が強くなり、当センターへの周辺医療機関からの転院搬送も増加しています。転院依頼施設では医師や看護師の不足や、診療時間中などの理由により転院まで医療関係者が付き添うことが困難な場合が多く、救急隊任せになっていることが多いのが現状だと思います。依頼先の先生方の負担と不安を少しでも解消するために、重症患者は担当診療科に受け入れ依頼をして「重症で状態が不安定である」旨を伝えて頂ければ、専門医とスタッフがドクターカーで依頼先へ出向き、先生方と協力し必要な観察と処置を行った後、状態を悪化させることがないようにセンターに搬送しています。

ドクターカー出動件数グラフ

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  • 2012年度は、震災後の救急体制・災害体制構築のため、研修参加などによりスタッフの教育に力を入れたため、現場出動回数が減少。
  • 2013年度は、病院救命士の採用、同乗看護師の配置、臨床研修医の増加、病院実習救命士の教育など他職種・他機関との連携が強化・整備され、前年度の地道な スタッフ研修効果もあり飛躍的に出動回数が伸びた。

救急ヘリ・ドクターヘリ

重症患者様の安定化治療の後、県内外への高度専門施設(救命救急センターなど)へドクターヘリ講習会を受講したスタッフを中心に搬送に関わっています。また、岡山のドクターヘリや県内のヘリの受け入れ要請も受けています。
当センターが使用するヘリの離発着場は病院から約1分の距離にあるシロトピア記念公園ですが、使用が不可能な場合は姫路市陸上競技場・陸上自衛隊第三特化連隊姫路駐屯地を使用しています。

神戸市航空機動隊との連携

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公立豊岡病院ドクターヘリとの連携

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兵庫県ドクターヘリとの連携

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